「FRAGILE」

2008.12.25 *Thu
FRAGILE (B‐PRINCE文庫)FRAGILE (B‐PRINCE文庫)
(2008/04)
木原 音瀬

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木原音瀬/高緒拾



あらすじ

大河内の人生は、バラバラに壊されてしまった。一人の男の手で―。
才能あふれる部下・青池を嫌い、一方的に蔑ろにしてきた大河内。
我慢の限界を迎えた青池は大河内に襲いかかるという事件を起こし、社を去っていく。
目障りな存在がいなくなり安堵したのも束の間、ある夜、その青池が大河内の自宅で待ち構えていた…!
二人が踏み込んだ愛憎の迷路のたどり着く先は―。




病み方がすごくて、かなり楽しめた。
特に最後の、手紙とか、血みどろ事件とか、圧巻。

しかし、作者の方はてんで「病みすぎた」自覚がなく、
あとがきではなんか明るかったんですケレド…

受けの声のイメージは千葉進歩さんでしょうか。
攻めは平川さん?いや違うな、甘くなったときの口調が違うかも。


こう、声萌えが発生してくると、怖い物語も怖すぎなくてすみますねぇ、と
気づいたのは読後の読み返しのとき。

読み返してみると、攻めの受けに対する仕打ちがかなり酷かった。
読んでいてグイグイ引き込まれたけれど、

萌えなしエロティシズムなし愛もなし。


あるのは犯罪行為だけで、攻めが愛しさが余って憎しみいっぱい。
いい加減開放してやれよ、と馬鹿馬鹿しくなった(読み返したときに)。
チラチラと見える好意の片鱗を見ようとして、手放せなくなって。



そういえば、極限状態にあるときに命を奪うことの正当性を考えるシーンがあって、
「WELL」ではそのテーマははっきりと取り上げられていたけれど、難しいよなぁと思った。
命の危険を前に、どこまでするか。
ただ、木原さんの徹底的に追い詰めるやり方、読ませ方に脱帽。
読んでいて、目線の主の正当性を信じてしまう。いやー、すごい。






しっかし、どっちもどっちな性格でしたねぇ。
受けは、逃亡して復讐し、攻めは執拗な変態愛情だけで最終的に絡めとり。


受けが逃げまくって、「自分のしたことを思い返せ」と考えてるシーンは、BLでラブを応援しながらも
うんうん、とうなずいてしまった。

ラブになってほしいのに、攻めも受けもどちらも好きになりあえないことに納得していたので、
反発しあう自分の思いが、作品の反発しあった想いに重なって、とても複雑な気分を味わった。

最終的に命がけ辞さない愛に逃げ場を失った受けは、諦めの境地で攻めを受け入れる。
互いに最高で最悪な人物になったことは、確かにある意味両想いでもあり、
それだけ感情が揺さぶられる人物というのも、なかなか人生で出会えないよなぁと思った。

笑えたのは、「自慰をするときに尻を弄るのをやめられなかった」受け。
変えられた体を認めたくないのに、
あんな高慢で性悪な受けがそんなことをしていたのか、と思うと、笑えた。一種も萌えだったのかしら。





血みどろシーンの「繋がり合って互いに朽ちる姿を想像し」というフレーズがなかなか甘美だった。
ここらで、攻めがちゃんと自分の変態性を最終確認しつつ、自己完結した想いが浮き上がるのが読んでいてゾクゾクした。


木原作品を読むときに「よーしっ!木原さんを読むぞ☆」と期待(覚悟)して読んでいるので、
痛い作品であるこの作品も、意外と楽しみまくって読んだ。
覚悟なしのほかの作家さんだったら、もっと驚愕したかもしれない。
良い意味でも悪い意味でも、木原さんの痛さに慣れてきている。




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