「ウキウキご奉仕デイズ」
![]() | ウキウキご奉仕デイズ (白泉社花丸文庫) (2005/04) 佐伯 まお 商品詳細を見る |
佐伯まお/桜井しゅしゅしゅ
トンデモ作家さんらしいと噂を聞き、妄想癖の受が主人公のこの作品を手にとってみました。
こう、疲れているときってオバカなものが読みたくなるのよね…
で、期待に違わずオバカでトンデモでした。
まさにトンデモ、ここまでトンデモな本にめぐり合えて幸運だとさえ思いました(大袈裟…)
どうして作者はこのようなお話を書こうと思ったのか謎なんですが、立派なエンターテイナー作品でした。
おはなしは、
妄想癖のある受16歳が、とある事情で一人で生きていかなければならなくなり、
住み込みメイドの職を得て恋に生きるおはなしです。
・・・。いいや、どんな説明をしても、この本のすごさは伝えられない。
まず、この受なんですが、何故ひとりで生きていかなければならなくなったかというと、
「あんたもうガキじゃないんだから一人で生きていきなさい。私は愛に生きます。by母」
という書置き一枚残して、母親が家を出て行ったからです。
しかし、この書置きを見た受の反応が
「わぁ、すごいかっこいい」
ですから、受の器のでかさというか、能天気さが伺えます。
ともかく、これが物語りの1ページ目です。なんとなく期待できる1ページ。
ということで始まったのですが。
最近記事にエロ発言が多いとご指摘いただいて少しくらいは自重してみようかと思ったのですが、
なにしろこのお話の要となるのが受の妄想なので、やっぱりこの感想でもエロエロ言います。
まずこの主人公の性格を特徴づけるものとして、最大の要素は妄想です。
最初っから度肝を抜かれる妄想度で、Mです。
おやつのバナナで妄想をして、・・・・あぁぁ…これ以上は破廉恥で書けないけれど、ともかくスゴイ妄想なんです。
母親が出て行ったのでバイトを探すのですが、
「なかなかないなぁ。肉奴隷募集って」
とため息をもらすような受です。8ページ目までに大いなる脱力感に見舞われます。
ここまで突き抜けている作品も珍しい、よし、最後までイッチョつき合って読むぜと心を奮い立たせ、最後まで読んでみましたが。
作者がこのような作品を書こうと思った心情を真剣に想像して、
「これはギャグに見せかけて、真面目な作品なのではないか」と思い至りました。
「愛されたいという気持ちと、マゾ願望がごっちゃになっていた」という箇所があるのですが、
意外とこれって真面目な問題じゃないですか?
自分の態度、相手の反応、好かれたいという気持ちとそれに沿った行動。
サラリと流されているけれど、どういうワケかとても考えさせられます。
それと、この受はなかなか達観したところもあります。
他人に哀れまれるのは慣れている受。物心つく前から哀れまれ、一段上のところから慈悲を与える人に違和感を感じたのは遠い昔のことで・・・自分がいかに辛くない、傷ついてなどいないと主張したところで、相手はしつこく哀れんでくるので、あれこれ否定せずに哀れんでもらっといたほうが無難という結論を出してるような16歳です。
他人を哀れむことによって何か得るものでもあるのだろうか、と受は気づかないのですが、佐伯さんはそういうものに憤りを感じる方なんでしょうか。
わかりませんが、思わず小さな言葉でも深い意味のある言葉ではないかとつい深読みしたくなってしまうほど、この作品は徹底的にアホでアホでアホでした。
最後に。
徹底的にアホでアホでアホな箇所を引用して、この作品の感想を締めくくりたいと思います。
思いっきり脱力感を味わってください。
受「あ・・すっごく固い・・・」
攻「仕事柄カチコチに凝っちゃってな。一ヶ所に血が凝り固まってるんだろう」
一ヶ所に血が?それって・・・・あ、肩だよね。ああ、僕はてっきり、あそこかと。あそこのわけないよね。でも・・・そうだったらちょっと楽しい、かな。
あらぬ発想をしてしまい、密かに頬を熱くする。
受「溜まってるんですね。充血しちゃってるんですね」
攻「マッサージ器や低周波治療器を買ったんだけど、あんまり効果ない」
「だめですよ、器具なんかに頼っちゃ・・・やっぱりこういうのは人肌でないと」
「以前はマッサージ店や鍼灸院に行ってたんだけど、今はヒマもないし億劫だし」
「そんなプロ相手なんて・・・・向こうはお仕事だから上手かもしれないけど、ビジネスライクとかなんとかで、寂しい気がします」
「あぁ・・・いい気持ちだ。水野くんは上手だなあ」
「ええっ!褒めてもらえて嬉しいです」
「こういうの、よくするんだ?」
「したことがないとは言えないけど・・・こんな気持ちでするの、ご主人様が初めてなんです」
「そうかー。俺の肩こりはそんなに重症なのか」
「ご主人様のお背中・・・大きいんですね」
「揉むの大変だろう。すまんな」
「いいの・・・いえ、いいんです。こうやってお触り、うんにゃ、お揉みできるのが使用人の幸せなんですから」
ああ、筋肉いいよぉ!素敵だよぉ!あそこはどんぐらい固いのかなあ。背中より固いよね。きっと。
「ほ、ほ、他のところはお揉みしなくてよろしいでしょうか」
「ああ。肩背中だけでいい。パンパンに張っちゃって辛かったんだ。ありがとう」
他のところもパンパンに膨らませてくれていいんですけどー!
はぁ。すごい作品だった…


